第67章 兄たちと妹
春風さんは悩む私をクスクスと笑った。
「…何ですか?」
「あなたが一人の男の子にあくせくしているのが面白くて。」
その言葉にキョトンと首をかしげる。
「あん………っっなに!私たちを振り回していたあなたが、振り回されるなんてねぇ!!」
「…え?私??」
「実弥くんには拍手ですよ、よくもまぁあなたをこんなに好いてそばにいるんですから。」
春風さんは嫌みでもなく、本心でそう言っているようだ。
「んもー!私をダメ人間みたいに!!」
「実際そうでは?」
にこーと笑う彼にぐうの音もでない。
「いい加減、自分が一人じゃ何もできないんだって学びました?」
そう言われて肩を落とした。
「……はい。」
「よかった」
「…私……自分がこんなに料理も掃除も体調管理もできないなんて、思ってなかったです…」
「はは~、まあまあまあ」
…ご飯は作るもの全部まずいし部屋はすぐに散らかすし入院するまで体調不良に気づかなかったし。
自分ができるやつとは思ってなかったけど、こんなダメダメだと自信なくすよ。
「それなのにあなたは、全部自分でやろうとしちゃうしできちゃったんですよね。止めるに止められなかったんですよ。」
「…すみません。」
「………実弥くんに感謝ですね。」
春風さんの言葉に私はうなずく。…いつもダメダメって言うけど、全部優しさからきてるんだよな。
ふんふん話を聞きながら私はクッキーをさくさく食べ続けた。最近おやつとか食べてなかったから止まらない。てかこれおいしいな。
「でもさんが実弥くんに遠慮することもないですから、ちゃんと頼るところは頼ってくださいね。私はまだまだ心配です。」
「やだなぁ!私子供じゃないんですよ、くふふ。」
「それもそうですね。あ、クッキーおかわりありますよ。これはですね、妊婦さんにも安心なおやつを取り扱うメーカーのもので、アレルギーの恐れもなくあっさりした甘さかつ栄養価満点で食欲がなくても食べやすいというもので……」
うんちくを語られながら私はお腹いっぱいクッキーを食べた。
……はっ!お菓子与えられて喜んでるなんて子供みたいじゃない!!!