第67章 兄たちと妹
条件付きで許してくれた。いやあ我ながら私ってば女優!!
まあ…その条件というのが
・いーくんだけ認める
・ライブや握手会など会えるイベントの参加は絶対禁止
・グッズの購入は実弥の許可を取ること
………いや私は自己管理のできない子供か。
『守らないなら一生アイドル禁止いいィィ……!!』
と血走った目で言われたのでそれ以上の交渉はできなかった。
実弥が仕事に出かけた午後、春風さんが近くに来たと言うので私の家に寄ってきた。
今回の件はだいぶ相談に乗ってくれていたので一連のことを話してみたのだが。
「おやぁ、そんな愉快なことになっていたんですね。」
「大変だったんですよ…」
「でしょうね。でもこれで実弥くんの愛の重さを思い知ったのではないですか?」
そう言われて、私は首をかしげた。
「何がです?」
「実弥くんはアイドルにまで嫉妬するってことですよ。私にでさえいい顔をしないんですから、彼…。」
春風さんがクスクスと笑う。
お茶菓子で出したクッキーを一口かじる。
「………え、嫉妬?」
「あれ、無自覚?」
「え?」
「え?」
……ん?
「外に出ると怒ったのは」
「心配なのでは?もちろん外に男性いますしね。」
「……巌勝のこととか優鈴のこととか」
「全員男だからじゃないですか」
「……………キツ」
「ですね」
春風さんは他人事のように笑った。
「まあ、実弥くんはさんがだあーーい好きってことですね。」
「……へえ」
ぱくぱくとクッキーを食べ進める。
「なんか、やっぱりその感覚はわからないなぁ。」
「あなたは実弥くんが女の人といたら嫌なんじゃないですか?」
「んーーーーー」
私は首を傾げる。
「それだったらもう別れます。私じゃなくてもいいってことですしね。」
「うーん…これは個人の価値観ですね。実弥くんはそれでも一緒がいいってことじゃないですか。」
「はぁ…。」
ううん、どうも私たちはだいぶタイプが違うみたいだなぁ。