第67章 兄たちと妹
「……だ」
実弥が何か言ったので話すのといーくんのソロ曲を流すのをやめた。
「ウチはアイドル禁止だ!!!」
「え!?」
「テレビも禁止!!!」
「わあああああああーーーーー!!!」
実弥は録画したいーくんの番組を消そうとしたので必死にリモコンを死守。
「わーんひどいひどい!!なんでそんなこと言うのー!!」
「ダメだ!!」
「びえええええ実弥なんて嫌いーー!!」
「ア!?」
「私のオアシスを消さないでーーー!!」
慌てて部屋中に飾っていたいーくんグッズをかき集め、涙目で実弥に訴えた。しかし、なぜか彼はどんどん怒って……。
「ダメだ許さねェ」
「なんでなんでー!!」
「お前惚れっぽいんだからダ!メ!だ!!」
実弥がより強く言う。
そんなこと言われるとムキになってしまう。
「惚れっぽいって何よー人を浮気者みたいに!!」
「実際そうだろうがあああァ!!」
「私がいったいいつそんなことをしたー!!!」
「しょっちゅうだッ!!」
「うるさい私はイケメンと美女が好きなだけだ!!」
「それが浮気だっつってんだ!!」
ギャアギャアとしばらく言い合っていたが、そんなことを言われてハッとする。
「は!?そんなんが浮気になるわけないじゃん!」
「なるわ!!!」
「……え?待って、どこから浮気だと思ってんの?」
「俺以外と喋った時」
「…………………キツ」
「ア?」
なんだそりゃ。それじゃあ四六時中じゃねえか。
「え、あ、でも、いーくんとは喋ってないよ。」
「アイドルは視界にうつすな。」
「なんて?」
「見んな推すな好きになるな」
実弥の剣幕にギョッとしてしまう。
「いやああ催眠みたいに言わないでよっ。とにかくいーくんのこと認めてくれないと嫌いになるんだからー!」
「……………」
実弥はしばらく唸っていた。え?そんなに悩む???
「……………………………………ダメだ」
「ウルウル」
「かわいい顔してもダメだァ」
「実弥のためにもっと頑張るから!お仕事ちゃんとする!いーくんのお金は全部私の給料から出す!絶対迷惑かけない!!」
何度説得しても実弥はダメの一点張り。
そ、そんなあ…初めて好きになったアイドルなのに!!