第67章 兄たちと妹
とにかく、ろくに家事もできずに情けないこと、実弥が頑張ってくれているのに自分が全然頑張っていない馬鹿さが嫌なこと等…もろもろ全部話したら、実弥は。
「………」
なんとも言えない顔になっていた。
「……お前ェ」
グスンと鼻をすすって実弥を見上げる。
「…俺の心臓つぶす気かァ……」
「……なんでぇ?」
「……………はーーーーーー」
実弥は心臓のあたりをおさえて長いため息をついた。
「苦しいの?大丈夫?」
「ある意味大丈夫じゃねえ…」
ぎゅーと抱きついてくる彼の顔は赤かった。
「かわいいなァ」
「ん?」
「なんでもねえよ」
よくわからないけれど、実弥が嬉しそうだったのでまあいいかと思った。
「もう熱も下がったし今日は風呂入るわ。」
「じゃあ着替え用意する!」
私はパッと離れて実弥の着替えをせっせと用意した。
少し元気になったので実弥が風呂に入っている間、私はいーくんの番組をソファーで見ていた。
そのうち実弥が上がってきて、私の隣に腰を下ろした。髪の毛がぺたんとなっているのがかわいい…。
「……お前、これ毎日見てんなぁ。」
「いーくんは私のオアシス!!格好いいでしょ!?」
実弥にもぜひ良さをわかってもらおうと、私は早口で捲し立てた。
「この曲はサビに入る前に指差ししてくれてー」
延々といーくんについて語る私を実弥はじとっとした目で見ていた。
「29歳なんだって。年上だよ年上!メンバーの中でも最年長で、大人の色気があって…!!あっ、ソロ曲とか本当に格好いいんだよ、スマホにダウンロードしたから実弥もきいて!」
私が大はしゃぎでプレゼンしているのもどこか険しい顔で見ていた。私が喋りすぎて嫌なのかと思っていたが…。