第67章 兄たちと妹
「やだ許さない」
私は拗ねてそう答えた。
実弥は冷や汗をダラダラと流しているが私には関係ない。
「……ごめん」
「うるさいもうどっか行って」
「行かない」
「大嫌い」
「俺は大好きだよ」
実弥はぎゅうっと抱きついてくる。
久しぶりの感覚に泣きそうになった。…だって一週間だよ。私だって寂しかった。
「ひどいことする実弥なんて嫌い」
「…ごめん」
「いーくんの方が格好いいもん」
「……」
「嫌い、大嫌い、絶対許さない、不幸になれ、実弥のバカァ」
こらえきれなくて泣いていると、実弥が優しく背中を撫でてくれた。
「もう十分不幸になった」
「黙れ黙れ、お前なんか嫌いだ」
「ごめん…」
嫌い嫌いと言いつつ、私は実弥にベッタリくっついて泣き続けた。実弥はごめんと何度も繰り返していた。
次の日。
目が覚めると、実弥が目の前にいた。
…あのあとも私は泣き喚いて、『一週間分私の相手してくれないと嫌いになる』と言い、実弥相手ににワガママ放題だった。
今回は実弥が悪い。初対面とはいえ血の繋がった兄だと言う人をそんな目で見られるわけもないのに何を疑ってるんだか。
私は顔が綺麗な人が好きなだけ!!
「起きてー」
声をかけると、実弥の顔が歪んだ。
「……朝…か…?」
「朝だよ」
「………あと、10…分…」
実弥は珍しく寝起きが悪かった。…昨日はいつもより早くに寝たんだけどな。夜更かししようとする実弥に『私が寝るんだからお前も寝ろ』って喚き散らしたからなはははっ。
「眠いの?」
「………」
「おーい」
なんか様子が変だな、と思ってじいっと実弥の様子をうかがう。
……この感じ、もしかして…。