第67章 兄たちと妹
その日も実弥が帰る前にいーくんの番組を見ていた。
兄たちとメッセージでやりとりをしていると、実弥が帰ってきた。おはぎが出迎える。
いつもなら荷物を置いて、晩ご飯作りに取りかかるのだが…
「わぷっ」
一週間と2日。
久しぶりに実弥の体温を感じた。
ソファーに座っていると実弥がいきなり抱きついてきて、しかもいーくんが歌ってるのにテレビ消しやがった。
あ、こいつ喧嘩売ってんなと思ったが……
「ごめん」
か細い声が聞こえた。
実弥が言ったと理解できるまでしばらく時間がかかった。
「……無視しないでほしい」
「……」
「ごめん、俺が悪かった」
「……」
「…」
私が黙っていると、実弥が体を離した。
ブスッとした顔の私を見てみるみるうちに威勢がなくなっていく。
いやこれくらいの謝罪で許せるなら私だって速攻で許してたわ。一週間も引きずらんわ。
とりあえず実弥を引き剥がしてテレビをつける。もういいどっか行け。私はいーくんを見る。
「……兄貴の話ばっかだったから…」
「………」
「嫌だった…」
「………」
「……ごめん」
………おい
まさかの春風さん大正解かよ。マジかよ。嘘であってくれよ。
「………許してくれ」
実弥が再び私に抱きつく。