第67章 兄たちと妹
そんな感じで、実弥と喧嘩している間に私はすっかりいーくん信者になった。
いつの間にか自分のスペースはいーくんで埋まり、テレビの録画欄もいーくんで埋まり…
まあ実弥とベタベタしてた分が全部いーくんになった。
『え、そんな面白いことになったんですか?』
「いーくんしか勝たん…」
『この前お茶買ったらおまけで指人形ついてきたんですけど。』
「本当ですか!?コンビニ三つ回ったのにいーくんだけなかったんですよください!!」
『いいですよ。』
春風さん神…。
ってそんな話をしてるんじゃないのよ。
『でも一週間口聞いてないんでしょう?大丈夫ですか?』
「そうなんですよね…いーくんに夢中だったんで2、3分くらいの感覚なんですけど。」
『貢いでますね〜』
……まあそう言われると確かにやばい?か?
『お兄様方と連絡はしてるんですか?』
「一日2言くらいですけど、なるべく何か話すようにしています。」
『そうですか〜。実弥くんが会う日は遠いですかねぇ。』
「ですねぇ。」
私ははあ、とため息をついた。
「ソファーで寝るのもそろそろ飽きたんで寝袋買ったんですよ。結構快適ですよ。」
『妊婦が寝袋って何ですか??』
「だって実弥のいる部屋で寝たくないもん」
『…実弥くんはきっとあなたを待ってるんでしょうねぇ。』
「ケッ。理由もわかんねぇのに謝らねえですよ」
『そうですねぇ。』
春風さんはクスクス笑う。
「もういーくんのソロ曲寝室にエンドレスループで流してやろうかな…『俺もいーくんが好きになったごめん許してくれ!』って朝に土下座してくるくらいに……。」
『それはないと思います。』
「ですよねー」
『まあ、でもそろそろだと思いますよ。』
「ふえ?また未来予知ですかー?もうそれびっくりするんだからやめてくださいよ〜」
『私の力を何だと思ってるんです?……我慢の限界というのは、案外すぐきますから。一週間はもった方ではないですか。』
「え?」
『だから、あなたは実弥くんの愛の重さをそろそろ思い知るべきです。』
………??
意味わかんない。
まあ、でも…一応何か起こるっていう心の準備だけはしておこう。