第66章 愛ゆえに苦しめと
「那由多のこと怖かったの?」
あああああああああああああまずいまずいまずいどうしようどうしよう
今更怖くなかったとか言えねえよすみませんそんなつもりではいやそんなつもりでしたけど私のバカかあああああああああ!!!!!
「………どうして?」
「あっ……、えとぉ、あのぉ。その、なんか……テンションが一緒って言うか……お、落ち着いた感じっていうか…ふ、不思議だなーていうか。」
だいぶオブラートに包んだが…何言ってるのか自分でもわからん。
ああああああどうしよう神様今だけ信じます助けろ。
「…そう」
「えーとえーと怖いっていうか不思議っていうか不気味っていうか」
「君もわかる子なんだね」
そう言われてぎゅっと口を閉じる。
「俺は匂いがするんだ。」
「…匂い」
「そう。嫌なやつは嫌な匂い。いい人はいい匂い。君は花の香りがする。いい人の証拠だ。」
え?香水ふってないけど…。
「感情が匂いでわかるってことですか?」
「そう」
……炭治郎くんに近いのかな。でもそうか。霧雨だから不思議な力は持ってるんだ。
………私は第六感で感じてるけど、この人は嗅覚で感じているのか。なるほど、こういうパターンもあるんだ。
「俺は感情しかかぎとれないから…あまり大それたことはできないけど、那由多は確かに無臭だ。なんの匂いもしない。中身が空っぽってわけはないんだろうけど。」
「………」
「怖い…は…思ったことない。…那由多は俺たちとチャンネルが違うと思う……。」
「…どういうことですか?」
「俺たちが…まあ、土から生まれたとすると那由多は空から落ちてきたって感じ。」
なるほど。
わからん。
「那由多は異質だと思う。でも怖いやつじゃないし、君に何かすることはないと思う。」
「……そう…ですよね、すみません」
「ううん。突然のことだから怖くて当然だと思う。」
童男は少し考え込むそぶりそ見せた。
私はヨウコさんが言っていたあの言葉を思い出していた。
____怖い子___
____神様も見放すような__
いったいどんあ意味があったのだろうか。あの言葉はなんだったんだろう。