第66章 愛ゆえに苦しめと
でも、なおさら気になる。
どうして今になって会いにきたのだろうか。
「だが、お前のことを探さないといけなくなった。」
………。
「母親がついに俺たちのところに来たからだ」
その言葉に胸が跳ねた。
「まあ霧雨なんて男が二人いて起業してたら、察するだろうね。久しぶりに再会しても、アイツは変わっていなかった。
残念だけど、俺たちはアイツになんの思い入れもない。殴られて怒鳴られた相手だ。愛もない。そう、俺たちはとは考えが違うと思っていてくれ。
俺たちは家族だろうがなんだろうが嫌いなもんは嫌いだ。」
「…母はあなたたちにもお金をせびったってことですか?」
「…ああ。そうだ。俺たちはしなかったが…はそれに応じていたと聞いている。大学生の時から…大変だったろう。」
私はぐっと拳を握った。
いったいあの人はどういう神経をしているんだろうか。どうして他人に頼ることしかしない。そのくせ、自分は悪くないと言う。
「と母親を切り離す必要があると思った。…一度部下を実家に向かわせたが、そこにもう君はいなくて…彼氏と同棲を始めたと聞いた。……幸せに暮らしているんだと安心したよ。
俺たちは母をどうにかしようとしたが、どうもできず…。俺たちが経済援助をすることにしたんだ。それで君へ金をせびることをやめさせることができたと思った。
…でも、母親は俺たちとの約束を破っていたんだ。」
そうだ。母はずっと私に金の無心をしていた。
裏でそんなことがあったなんて…。
「それから数年、いつの間にか君からの援助を断たれたと言って俺たちに泣きついてきた。だから好奇と思って俺たちも援助を打ち切ったんだ。」
…ああ、心臓が止まった時だな。晴風さんたちが口座を止めてくれた時だ。