第65章 相性最悪
どうやらこの回答には満足してくれたらしく、寿美ちゃんと貞子ちゃんはニコニコ笑っていた。
「実弥兄ちゃんなんで怒鳴ったのー?」
「顔真っ赤だよ。どうしたの?」
「…なんでもねェ」
実弥は頭を抱えていた。
ちょっと申し訳なくなってきた。
「賑やかねぇ、不死川さんは。」
「おばあちゃん。」
「たくさん弟と妹ができてよかったわね、」
私は頷いた。向かいに座るおばあちゃんは優しく微笑んでいた。
「子供たちがね、あなたたちのお祝いをしたいからって私とおじいちゃんのことを誘ってくれたのよ。おじいちゃんと二人暮らしでもね、おかげで全然寂しくないわ。」
「…そっか。」
「も忙しくて大変だったでしょう。あなた、体調は大丈夫なの?また無茶してない?」
「してないよ」
にこーと笑って答える。しかし、おばあちゃんはケラケラと笑った。
「その顔は無茶してるのね」
「うっ」
「いいのよ。あなたの人生………好きにしたら、いいのよ。」
おばあちゃんは優しく言ってくれた。
「でもねぇ、おばあちゃんとおじいちゃんよりも先にいなくなるのはやめてね。」
「……おばあちゃん」
おばあちゃんの顔には中学生の時にはなかったシワがたくさんある。姿勢もゆがんできて、声もおっとりしてきた。
二人とももう歳だ。
こうして会えるのも、あと何回だろうか。
そう考えると悲しい。
「うーん、頑張ってみる」
「ふふっ。面白いわねぇ、あなた。」
おばあちゃんはまた笑った。
何が面白いのかわからなかったけど、笑っておいた。
と、話し込んでいるうちに部屋の電気が消えた。
わー真っ暗だー。そうそう。もう夜だからね。電気は消したほうが……。
「ふぁああああああ!!ちょ、なになに停電!?」
「イッテ!!おい!!お前今殴ったろ!!」
「え?このふわっふわのやつ何???」
「俺の髪だ!!引っ張るんじゃねぇよ!!!!!」
まっ、気配察知でどこに誰がいるのかわかるんですけどーーー!!
パニックになったフリして実弥に嫌がらせしてやったぜプクク。とまあ、そうこうしている間に部屋の中の気配はゴソゴソ動いていて……。