第65章 相性最悪
「優しいところ」
そう言うと、寿美ちゃんと貞子ちゃんは不満そうだった。なぜ。
「そんなの私たちでも知ってるよ!実弥兄ちゃんのどこを見て好きになったのかって言ってるの!!」
「………優しいところ」
「だーかーらー!それ以外!!」
「………ヤサシイトコロ」
納得できない二人はぐいぐいと私に詰め寄った。ええ、なんと答えれば??実弥は優しいし、確かにそう言うところが好きだ。
いや、まあ、それ以外にもあるけど、日頃の私の愚行をカミングアウトすることにつながるから言えない。
「え、じゃあ実弥兄ちゃんの好きなところないの?」
「あ?」
「実弥兄ちゃん秒で反応すんじゃん。ウケる。」
最終的には実弥まで。おいこらややこしくなるだろ入ってくんな。
「お前ら、に変なこと言うんじゃねえぞ。」
「別に変なことなんて言ってないよ。」
「そーだよ!兄ちゃんはご飯食べてて!」
「っまだ食うのか…!!」
なんか三人がこそこそ話してるけど、私は考え込んでいて何も聞こえてこなかった。
うーん、恥ずかしいけど。でもまあここまで来たら言うしかないよねぇ。
「ねーねーちゃん。実弥兄ちゃんの好きなところはー?」
「優しいところはなしね!!」
「私のこと大好きでいてくれるところ」
素直に答えると、二人はピタリと動きが止まった。実弥は石のように固まった。
「学生の頃からテンションが変わらないっていうかかわいいって言ってくれるし愛してるって言ってくれるし大好きって抱きしめてくれるし大切にされてる感があるっていうか」
「」
「あといつまで経っても抱きつき癖が「!!!!!」」
実弥が怒鳴ったところで言葉を止めた。
すると、さっきまで違うことをしていたみんなが一気にこちらに視線を向ける。
実弥は真っ赤になっていた。貞子ちゃんと寿美ちゃんも真っ赤だ。
「うわ〜!!実弥兄ちゃんそんなんなんだ…っ!!」
「めちゃくちゃ意外、ええーうそお!ラブラブ…。」
「貞子…寿美……!!!」
実弥はプルプルと震えていた。
ついでに私のお腹を触るのが好きなことも暴露してやろうかと思ったが、可哀想に思ったのでやめた。
…実弥もこんなに照れることあるんだな。て言うか恥ずかしいと思うならやらなきゃいいのに。