第65章 相性最悪
「が起きたら降りるように言われてるから、ひとまずリビング行くか。」
「それなら起こしてくれたらよかったのに。」
「お前がかわ……気持ちよさそうに寝てたから」
「なんて?」
変な単語が聞こえた気がするけど気のせいかな?まあいいや。ひとまず実弥に続いてリビングに入った。
その時、パン!と乾いた音が聞こえて慌てて実弥の背中にしがみついた。
「え!?え!?何の音!?」
「………落ち着けェ」
実弥も唖然としていたが、絞り出したような声で私に言った。
恐る恐る彼の背中から顔を覗かせると……。
「「「「「ちゃん、実弥兄ちゃん結婚おめでとうー!!」」」」」
「ふえ?」
またパン!と音がした。…ああ、クラッカーの音か。
「……うそおおおぉぉ………」
予想だにしない展開に魂が抜けたように口からもれた。
リビングは飾り付けされていてずいぶん派手になっていた。テーブルの上には滅多に見られないようなご馳走ばかり並んでいた。
「二人ともびっくりした〜!?パーティだよパーティ!!」
「ご馳走だよー!ケーキもあるよ!!」
「こんな近くでクラッカー鳴らすなァ」
「あははははは」
至近距離で三連発クラッカーを鳴らされてさすがに実弥も驚いていた。
一応笑顔で対応はしたが、皆に見えない角度で実弥の背中にしがみついて小鹿みたいにビビり散らかしていた。
「まさか寝ている間にこんなことになっているとは…」
「二人とも座って座って」
おばさんに促されて二人で椅子に座る。
子供たちはテンションが高かった。
……まさか祝福されるとは。
その後、みんなが用意してくれたものを食べた。私はあんまり食べられなかったけど、実弥がこれでもかと言うほと口に料理を放り込まれていた。
弟妹に食べてと言われると断れないのか、ちゃんと全部食べていた。…知らなかった。こんなに食べられるんだ。
私がニコニコしてその様子を見ていると、貞子ちゃんと寿美ちゃんが話しかけてきた。
「ねえねえちゃん」
「実弥兄ちゃんのどんなところが好きなの?」
「ゴフッ」
思ったよりヘビーな質問に思わず咳き込む。しかし、さすがは女の子というか…。恋バナとやらが好きなようで、キラキラした目で見つめられてしまって答えないわけにはいかなかった。