第65章 相性最悪
おはぎを抱きかかえて2回のおばさんの部屋から出た。
……みんなのところに行かなきゃ。
…おばさんのことをお母さんと呼ぶのは無理そうだ。私の中のお母さんは一人しかいない。
そして、私の中にあるお母さんに対する絶対的価値観が今後一切変わることはない。
階段を降りようとした時、玄弥くんが階段を上がってきた。
「あー、姉ちゃんただいま」
「……うん。楽しかった?」
おかえりと言うのは違う気がして、咄嗟にそう答えた。
玄弥くんは私を見るや否や、少し眉を顰めた。
「姉ちゃん顔色悪くない?大丈夫?」
「あはは…寝起きだから……」
「具合悪いの?もっと寝てたら?」
「ううん、大丈夫。」
これだけ人がいると寝られないし。ああ、玄弥くんに心配されるなんて…。
「あっ、待ってまだ下行っちゃダメ。」
「え?ダメなの?」
「あー…ほら、帰ってきたばかりでみんな買ってきたもの散らかしてるから。」
これは気配察知とか関係なく嘘だとわかる。いや嘘下手か。
「まだ休んでなよ。姉ちゃん、今日なんか大人しいし具合悪いんだろ。」
「えっ、べ、別にそんなことは…」
…大人しいか、そんな風に見えてたのか…。なるべくおとなしくしてようと隅っこで縮こまってたのがダメだったみたいだ。うう、難しいな。
とにかく私がいると都合が悪いみたいなので、再びおばさんの部屋に戻ってベッドに寝転んだ。
「おはぎはみんなのところに行ってきたら?」
『断る。俺がどこにいるかは俺が決める。』
なんか格好いいこと言い出したんですけどこの子。
まあいいや。私は気休め程度に目を閉じた。