第65章 相性最悪
「むにゃ?」
ハッとして目を覚ました。
気配を感じて起きてのだ。
「……ゔぅ…」
起きたはいいものの目が開かない。ああ、そうか。家に誰もいなかったから久しぶりにちゃんと寝たんだ。深い眠りから急に意識が戻ったから体が意識についてこない。
「…ゔッ……」
気持ち悪い。気分最悪。自然に起きたかった。
「にゃー」
そこで初めて目を開けた。声が聞こえた方に目を向けると、そこにいたのはおはぎだった。
「……ゆめ」
はあ、とため息をついた。
『起きたか』
おはぎが私の顔の横でなんだか怒っていた。…おはぎの気配で起きたのか。まあ、こんな近くまで来られたらな。
ていうかどこから入ってきた?あ、そういえばおばさんが出て行った後にちゃんとドア閉めなかったかも…。
「ねてま〜す」
布団を頭まですっぽりとかぶったが、おはぎは布団の中へするりと入ってきた。
『俺は怒っている!!知らないところに放り出されて、なぜか知らんが全員いなくなりやがった!!俺をもっと構うべき!!俺が3回鳴く前に撫でるべき!だ!!』
「…うん、よしよし」
私は布団の中でおはぎをぎゅっと抱きしめて撫でた。
「そうだねぇ、寂しかったねぇ。」
『寂しかねえ!!』
おはぎはプンスカ怒っていたが、しばらくして機嫌も直ったようだった。…可哀想なことしちゃったな。
「おはぎ」
『ん』
「ごめん、そばにいてもらってもいい?」
『俺を都合のいい時にしか可愛がらないくせによく言えたな』
「……ごめん」
おはぎはすり、と一瞬だけ私の頬に擦り寄った。
『いいよ。お前はそういうやつだ。』
「……ありがとう」
『俺はそばにいるよ。……今度こそ。』
おはぎと一緒に寝ることで、私は少しずつ夢のことを忘れていった。
そして気持ち悪さも何かも消えた時、みんなが帰ってきた。