第64章 恨みは吐き出すもの
実弥がフガフガ怒っていたけれど、マジでなんで怒っているのかわからなかった。おばさんはずっと笑っていたけど。
そのうち、家の中で遊ぶことに飽きた子供達が買い物に行きたいと言い出したので実弥が連れて行くことになった。
「おじいちゃんとおばあちゃんも一緒に行こー!」
「一緒におもちゃ選んでぇ!!」
子供たちは大はしゃぎでおじいちゃんとおばあちゃんまで誘っていた。
しかし、そうなると…。
「あらぁ、車一台だと足りんねぇ…。私も運転するわ。」
「あ、私も一応運転できますよ。」
ずっと働いてるおばさんに悪いと思ったので、そう言った。
だが。
「だめ!!ちゃんは来ちゃだめ!!」
「え」
「ちゃんは今日買い物に行くと転んでマンホールに落ちちゃうって朝の占いで言ってた!!!」
「OH……」
なんじゃそりゃ。
子供たちが唐突に騒ぎ始めた。……緊張感と嘘がまじったものを感じる。なに言ってるんだろう。うーん、子供っていまいちわからないな。
「あんたらもっと上手く言いなさいよ!!」
「ちゃんが傷ついちゃうでしょー!!」
女の子二人が弟たちを叱りつける。家の中はすっかりうるさくなってしまった。
その様子に耐えかねたおばさんが困ったように口を挟んだ。
「ま、まあみんな。ちゃんは疲れてるみたいだし、お家で休んでてもらおうか。」
「おばさん、私は疲れてなんか…」
「つ、か、れ、て、る…でしょ?」
「ハイ」
謎の圧を感じて頷いた。
疲れてるもなにも、働いてたのはおばさんと実弥くらいで私はずっとソファに座っていたんだけど。
なんか変な気配を感じるなぁ。
「じゃ、じゃあ…お言葉に甘えて、家にいますね……」
そう言うと、みんな安心したように笑った。…私がいると嫌なのだろうか。まあ……他人だしね。お正月に急に知らない人が来たらこうなるよね。
「私の部屋でゆっくりしてるといいわ。2階にあるの、ゆっくりおいで。」
「はぁ…ありがとうございます。」
おばさんに連れられて私は2階に上がった。
その間にみんなは外に出かける準備をしていた。