第64章 恨みは吐き出すもの
ひとまず就也くんを下ろして玄弥くんに声をかける。
「だ、大丈夫だよ。私のことは気にしないで…。」
「まあっ、ダメよ。あなたが床に座ったら。ほら、ここ座って。」
「え、だ、大丈夫ですよ。」
おばさんが慌てたように私をソファーに座らせた。されるがままで大変恐縮だ。
「ほら実弥、あんたがちゃんとしないと!お茶出してくるからちゃんをちゃんと支えてあげなさい!」
「あ、お茶とか全然…私、手伝いますから!」
「だめ!座ってて!!」
そう言われて思わずピシッと背筋が伸びた。実弥はなんだか居心地が悪そうに私の隣に座った。
実弥に助けを求めるつもりで視線を送ったが…。
「なかなかお会いに行けずすみません。今年もよろしくお願いします。」
「あら、いいのよ〜。若い人達は忙しいでしょうし、ねえ?」
「そうそう気にすることはないよ。今年もよろしくね。」
…こっちはこっちでおじいちゃんとおばあちゃんと話し始めちゃった。
うう、実弥緊張してるなぁ〜。最後に会った時、実弥が私をビンタした時だっけ。あの時はタイミング最悪だったな。
でもおじいちゃんは過去を引きずるタイプじゃないし。実弥もだんだんいつも通りになってる。よかった。
一人縮こまっていると、おばさんが私と実弥にお茶を出してくれた。
「あ、ありがとう、おばさん」
「だから、おばさんじゃなくて〜!」
…?おばさんはなんだか一人で楽しそうだ。
「ねえー兄ちゃん、猫見せてよー。」
「おはぎちゃん〜」
「わかったから引っ張るな。」
おチビちゃんたちはゲージの中のおはぎに夢中だった。実弥は弟妹のため、おはぎが出てこられるようにゲージの扉を開けていた。