第64章 恨みは吐き出すもの
みんなでぞろぞろと中に入ると、リビングのソファーでおじいちゃんとおばあちゃん、そしておばさんが談笑しているところだった。
「二人とも、いらっしゃい。明けましておめでとう!」
「おめでとうございます、おばさん…」
「やだもう、おばさんやなんて!」
おばさんはケラケラと笑った。一応2秒後には土下座できるよう身構えてるんですけど…。
「お母さんでいいのよ、ふふっ」
「は、はあ…」
どこか照れたような気配がする。…怒ってない…のかな。それならよかった。
「お、おじちゃんとおばあちゃんも久しぶり…あと、明けましておめでとう。」
「うん、おめでとう。元気そうで安心したわ。」
「そうだぞ。お前は連絡の一つもよこさないから、ずっと心配してたんだからな。」
「あ、そうなの、ごめん。」
少しの小言はあったものの、全員怒ってないらしい。
チラリと一瞬実弥と目配せをし、胸を撫で下ろした。よし。想像していた感じにはならなかったみたいで安心した。
そんな中、ぐいぐいと服の袖をひかれて視線を下に向けた。就也くんが私の服を引っ張っていた。
「ちゃん、抱っこ抱っこ」
「あっ、就也ずるいっ。ちゃんは私と寿美と遊ぶのよ!」
「そうよそうよ。絵を教えてもらうんだから。私たちずっと楽しみにしてたのよ!」
「姉ちゃんたちの用事なんて後でもできるじゃん。ちゃんは俺とことが遊ぶの!」
「お。おお…??」
あれやこれやという間にみんながぞろぞろと私の周りを取り囲んだ。とりあえずその場に腰を下ろして就也くんをひょいと持ち上げたが、子供たちの要求は止まらなかった。
「こら、姉ちゃんを困らせるなよ!」
そうこうしているうちに玄弥くんが大きな声を出した。するとさっとみんな大人しくなった。おお、すごいぞ次男パワー。