第64章 恨みは吐き出すもの
次の日の朝。
目が覚めればクマの人形はなくて、実弥が私に抱きついていた。
…結局、クマは実弥が排除して、抱きついてきた実弥が寝た後に私も寝た。もう、今日は長丁場だからぐっすり寝たかったのに。
そしてもぞもぞと腕の中から這い上がり、顔を洗ってキッチンに立つ。
朝ごはんはお雑煮。睡眠妨害魔のくせして実弥はスピスピ寝ているので私が用意しますよあはは。
あらかた用意が済んだ後はパソコンを起動して仕事モード。いやあ、絵を描くことから始まるお正月って本当にサイコー!
1時間くらいゴリゴリやっていたら、実弥がのそのそと起きてきた。
「おはよ…ッてお前、また仕事かよ」
「あ、お雑煮できてるから鍋に餅いれて食べて。」
「お前がやったのかよ…。」
「気持ちよさそうに寝てたから〜。」
適当に会話を流して作業を進める。
うう、お出かけする前に終わらせたい〜あとちょっと!!
「ー」
「なーにー」
そうしているとキッチンから声が聞こえた。
実弥は少し大きな声で話を続ける。
「餅何個食ったァー?」
「まだ食べてなーいー」
私がそう答えると、キッチンにいた実弥が大股で私のいる場所まで詰め寄ってきた。
「今すぐ仕事やめろ。朝飯が先だ!!」
「ぎゃーー!!営業妨害!営業妨害!!訴えてやるんだからっ、正月からやってる弁護士事務所知ってるんだからね!!!」
「ふざけんな!嫁に飯食えって言って何が悪いんだ!」
「いーーーーーーッだ!!!」
「小学生かァ!!」
その後、ギャイギャイ言いあったが結局私が勝った。実弥は私の仕事が終わるまでおはぎの相手をしていた。
それから二人でお雑煮を食べた。
今年初喧嘩を早速した私たちでした。