第64章 恨みは吐き出すもの
すうすうと寝ていたのだが、しばらくして目を覚ました。
?あれ、実弥、起きたのかな。
そう思った時、ボフッと音がした。
ギョッとして隣を見ると、クマのそばで寝ていたおはぎが飛び起きていた。そしてクマをぶん殴った実弥にこれでもかというほど毛を逆立てて怒っていた。
「……なぁ〜にぃ〜………」
睡眠妨害もいいところだ。私は寝ぼけ眼で起き上がった。
「あと1分」
「ええ〜何がぁ〜…」
ゴシゴシと目をこすり、怒るおはぎを抱いてよしよしと撫でる。まだ私の腕の中でフウフウ言って怒っていたが、実弥に飛びかかることは無くなった。
実弥が電気をつけたことでパッと視界が明るくなった。
「年明けだよ。」
彼が指さした枕元のデジタル時計を見ると、ちょうど『00:00』に変わるタイミングだった。
「おお〜……あけまして、おめでとうございます」
「あけましておめでとうございます」
二人でペコリとお辞儀をする。
「…良いお年を」
「今年もお願いします、だろ?寝ぼけてんなァ…。」
「だってぇ、眠いぃ〜」
実弥はペイっとテディベアを押しのけて、今にも寝落ちそうな私をぎゅっと抱きしめた。
「今年もよろしく、な」
「…はぁ〜い」
私の腕の中でおはぎもそれにこたえるようににゃんと鳴いた。
『おい、ソイツ一発でいいから殴らせろ。地獄を見せてやるんだ。』
…まだ怒ってるみたいだけど。
「眠いからクマちゃん戻して……」
「チッ」
え?舌打ち?
気のせいだよね。うん。だってほら、快くクマちゃん戻してくれてるし…ね。