第64章 恨みは吐き出すもの
外に出れば眠気なんて吹き飛ぶ。
だーーってそこかしこがざわざわしててやかましいから。
寝不足の日は外に出ると目が覚めてシャキッとする。うーん、風が気持ちいい。
年末ということもあってどこもかしこも人だらけ。いや〜熱気がすごいですな。
「わあ〜おせち売ってる。私、かまぼこ好きなんだよね。」
「かまぼこはおせち以外で食えるだろうが…。」
とはいえ、私たちはおせちの用意なんてしていない。年が明けたら実家に帰省することになっているからだ。
まあ私たちは実家が隣り合わせなんですけどっ笑。
1日は不死川家に集合して、私は自分の実家に泊まる。二日はそれぞれの実家で過ごして、三日から元通り…という予定だ。
いやぁ、実家に帰るの久しぶりだなぁ…。
なんてったってあの地獄の結婚挨拶以来帰っていませんからね!!
まあ?私は?…滅多に実家には帰りませんが。実弥は弟妹がいるし、おばさんが一人で子育てしてるからたまに手伝いに行ったりしてたけど…。
私はほとんど帰ってない。家にいるのは祖父母だし、私みたいなのがいるより二人でいる方が気が楽だろう。
「実弥はおせちで何が好き?」
「おはぎ」
「いや、入ってないよね?それは違うよね?てかおはぎは正月でなくても食べられるじゃん。」
くだらないことを話しながら街中をぶらつく。疲れた、と私が言うと、実弥は帰ろうと小さく呟いた。
それに頷いて、くるりと方向を変えた。
「「「「あ」」」」
その時、私たちはばったりと鉢合わせた。
「縁壱さんと……アリスちゃん!?」
驚きのあまり固まった。
え?何この組み合わせ。いや組み合わせ以前にアリスちゃん…!!!
実弥、私、アリスちゃんが固まる中、縁壱さんが一人だけペコリとお辞儀をした。