第63章 馬鹿の失敗談
その日の夜からベッドの上には巨大なテディベアが置かれた。
「私ももふもふしたいしせっかくだからこっちに置いて」
「あ、あァ」
実弥はベッドの外側にテディベアを置いていたのだが、私と実弥の間に置くように言った。
すると実弥との間にテディベアという壁ができたのだ。
(計画通り)
私はニヤリと笑った。
正直、ベッドが一緒になってから私はろくに眠ることができていなかった。いや寝てたよ?でもね、眠りが浅いっていうか…。
やはり人がそばにいると私は眠れない体質らしかった。
けれど、まあ、折り合いをつけないといけない。
私たちはこれから一緒にいるんだし、実弥の要望ばかり黙って聞いていても、私のわがままを押し付けていてもダメ。
だから妥協策…兼クリスマスプレゼント!!!!!
これなら抱きつき癖がある実弥もテディベアで欲が発散できるし、私は穏やかに眠れるし、ウィンウィンということ。そしてクリスマスプレゼントにもなった!!!
『なんだこの毛玉は』
「おはぎも気にいったの?」
『悪くない。』
おはぎは私とテディベアの間にすっぽりと挟まった。
ああ、これなら…。
私はその日、特に苦を感じることもなく眠ることができた。
おかげで翌朝は______________
「離せええええええええぇぇぇぇぇぇーー!!!」
「…ヤダァ」
なぜか実弥が私に抱きついていた。
可哀想なテディベアちゃんはベッドの下に落ちていて、おはぎのクッションになっていた。
相変わらず実弥が私のお腹を触る癖は直っておらず、後ろからがっつりホールド。朝イチで仕事をしようとしていたのに動けない…。そういう状況になってしまったのだ。