第63章 馬鹿の失敗談
次の日。仕事から早くに帰ってきた実弥を待ち受けていたのは大きな段ボール。
そしてやたらとテンション高めな私だった。
「は?何これ」
「クリスマスプレゼントだよ。」
誕生日プレゼントが小さかったので大きなやつを選びました。
「…お前、これ自分で運んだとか言わねえよな?」
「いいえネットショッピングです」
「ん」
実弥がにこりと笑う。
「しかしずいぶんとでかいなぁ。開けてもいいか?」
「どーぞどーぞ」
その段ボールは実弥の腰元まであった。配達員さんが苦労しただろうな。ごめんなさい。
実弥がガサガサ言わせながら開けると、中から出てきたものを見てギョッとしていた。
「…え?」
「ジャジャーン」
「………え?」
それは大きな大きなクマの人形だった。触り心地はもふもふで最高。しかもクッション性まで抜群の優れもの。
「須磨さん達と旅行行った時にもあげたでしょ。こういうの。」
「ああ、もらったな。」
あれは今も実弥のスペースに飾られている。大切にしてくれているみたいで何より。
まあ今回あげたのはそれの特大版。
「…ああ、嬉しい…ありがとう。」
「うんうん!」
「……何でこれ選んだか聞いてもいいかァ?」
私は喜んでその質問に答えた。
「実弥、抱きつき癖あるみたいだからこれに抱きついてもらおうと思って!」
「……ん…?」
「寝る時なんか私に抱きついてくるじゃん?だからよ。じゃんじゃん抱き枕にしてね!!実弥の体に合うサイズ見つけるの大変だったんだから!!」
実弥はそれを聞いてポカンとしていた。
「いや、」
「いい夢見れそうでしょ?」
ニコーっと笑うと彼はふっと爽やかに微笑んだ。…戸惑いの感情が伝わってくるけど…。
二日連続でサプライズしたからびっくりしたんだろうな?
サプライズプレゼントは帰宅直後かケーキの後に渡せってネットにあったのを忠実に守ってタイミングもバッチリだったからね!!
「……あァ、ありがとォ………」
「たまには私にも使わせてね!」
私の言葉に頷くと、実弥は改めて大きなクマの人形と向き合い、それを寝室へと持って行った。