第63章 馬鹿の失敗談
バタバタと暴れるも、実弥の拘束は解けなかった。…こんのやろうクソ筋肉!!!
「もう!くまちゃんあげたのに!!なんで私に抱きつくの!!」
「…くまじゃなくてお前がいい。」
「あ!?」
「……だから、俺は……おまえに抱きつきたくてェ…」
実弥がゴニョゴニョと言う。
え、と振り返ると、実弥の顔は真っ赤になっていた。
「……はい?」
「………悪いかよ。寝てる時しかお前大人しくねえし。」
少ししょんぼりとした様子が見えて、それ以上は強く言えなかった。
「気持ちは嬉しいけど…私、実弥と一緒じゃ眠れないよ……」
「……」
「実弥いぃ〜」
実弥が私の肩にぐりぐりと顔を押し付けてきた。
『分かってるけどいや。』
…こう言いたいんだよな。
うん、だいぶ言いたいことがわかるようになってきました。
「分かった分かった。じゃあ寝るまでは今まで通りね。実弥が寝てからクマちゃん間に挟むから。」
「……」
「ねえ〜!!」
実弥はちょっとだけむすっとしていた。
それでも嫌だと口にはしなかった。
……後日、実弥が無言でテディベアを殴打している場面を見てしまったので、ちょっとだけ申し訳ないと思った。