第8章 あの中に
その後、電話でしばらく話した。
カナエは私の体調を心配してくれた。病院を出ても変わりはないかと聞いてきた。大丈夫だと答えると、安心したように笑ってくれた。
『、もしかして電波が悪いの?さっきから声が小さく聞こえるんだけど…。』
「ん?ああ、違うよ。実弥が寝てるの。騒いだら悪いかなって。」
『そうなの〜。不死川くん、ずっと気を張り詰めていたからが帰ってきて落ち着いたのかもね。』
「実弥が?」
…?私が思うにいつも通りだったんだけどな。
『もう見てられないくらいだったんだから。明らかに顔色が悪いし…本人は無自覚だったみたいだけどね。』
「……そうなんだ。」
『多分ほっとしてると思うの。甘やかしてあげて。』
「………うん。」
すんません私これでもかってくらい甘えてしまっています。
「ありがとう、カナエ。…色々と気にかけてくれたんだね。」
『当たり前よ。二人とも私の友達だもの。』
性格も良い上に顔も国宝級に美人だからなあ…どんな人捕まえるんだろ。偏見になるかもしれないけど素敵な恋愛しそう。
『じゃあ、ここらへんで切るわね。長電話になってしまってごめんなさいね〜?』
「ううん、大丈夫。ありがとう。」
当たり障りのない挨拶を交わして私たちは電話を終わらせた。
…1時間くらい喋ってたのかなあ。
うんと伸びをして立ち上がる。おはぎはまだ夢の中だったので起こさないようにそろりと足を動かす。
リビングに戻ると、実弥はまだ寝ていた。…昼寝なんて普段しないのに、やっぱり疲れてたんだなあ…。
ブランケットの上でモゾモゾと動いてるのが可愛い。え、激写しよ。
シャッター音をオフにして連写でその光景を収める。ええ可愛い何この子。こんな強面なのに可愛い。最強か?
なんか手がバタバタしてる…。かわい…。
と、ほっこりとしてその様子を見ていた。
「……あ…」
「?」
…寝言?
次の瞬間にはカッと目が見開いた。