第61章 人間
と、いうことで。
愈史郎さんと珠世さんと交流があったこと。
キメツ学園の学園祭に潜入捜査をしたこと。
その時に陽明くんから助言をもらっていたこと。
助言通りに動いたら無惨に薬で眠らされて無惨宅へ連れ込まれていたこと。
まあざっくりまとめるとこんな感じなんだけど。
「ちょっと、いや。かなり待て。」
実弥は頭を抱えていた。ええ〜まだまだ話すことあるのに?本題にも突入してないのに???
「……お前、学園祭来てたのか」
「うん」
「…優鈴のパフォーマンスがあった日だけじゃなかったのか……?」
「その時についていた嘘については心から謝罪します」
申し訳ございませんと頭を下げる。
「愈史郎…っていうのは山本だよなァ。何かあるっていうのは薄々思っていたが……。」
「あの二人は全面協力してくれたの。」
頭をあげて言うと、実弥はまた頭を抱えた。
「…まだ病み上がりだった時に、そんな無茶苦茶なことしてたのか……!!!」
「病み上がり?」
「退院したばっかだっただろうが!!!」
ああ、と手を叩く。
すみません私、大切なことは3秒で忘れます。
「…いや、あと薬ってなんだよ。ていうかお前…鬼舞辻相手に何かしてるんだろうとは思ってけどよ……接触してたのか。しかも鬼舞辻の家に誘拐されてただァ?」
「………実はそうなんですよね」
「なんでそんなこと今の今まで黙って…」
実弥はぐっと唇を噛んだ。
目が恐ろしいほど血走っていたが、怒鳴ることはなかった。
「話が進まねぇからもう喋らねえよ…続けろおォ」
「…うす」
実弥が大人の対応をしてくれたおかげで、私は続きを話すことができた。