第59章 雪嵐
優鈴は哀れな小動物を見るような目でハルナちゃんを見ていた。
そしてすぐに動き、ハルナちゃんに手を伸ばす。
「えっ、木谷さ」
ハルナちゃんが真っ赤になる。
優鈴がハルナちゃんを肩に担いだのだ。
「また転んでも困る。帰りはたちに送ってもらってね。」
「……は、はいぃ…」
ああ、優鈴のいいところ全部でてる。顔はあざだらけだけど、格好いいな。
そのやりとりに感心しつつ……心底羨ましいと思う私がいた。チラリと実弥を見ると、興味なさげにそのやりとりを見ていたが、私の視線に気づいて『何だよ』と言ってきた。
「あーつまづいちゃったぁ」
「は!?」
二人が外に出た出口まで近づき、棒読みで適当なことを呟いた。そのまま雪の上に後ろ向きに背中からダイブし、大の字になった。
雪は柔らかくて、冷たくて、私には痛みなんてなかった。それでも実弥は大袈裟なほどに驚いていた。
「何やってんだお前はああああああああ!!!」
「あははっつめた〜い!」
「当たり前だ!!!」
「起きれない!抱っこして!」
「黙ってろォ!!!」
実弥は怒鳴りつつもちゃんと私を抱っこ私を雪から引っ張り出してくれた。
「………お前らのそのノリだけは理解できないししたくないわ。」
「優鈴。そう言う時は肩に担ぐんじゃなくて実弥みたいにお姫様抱っこしないとダメだよ。」
「しねえよ!!!」
「…あの…早く降ろして……」
私たちはしばらくギャアギャア言い合っていた。