第58章 爆発する音
まあワガママを聞いたのが私なのか無一郎くんなのか、ワガママを貫いたのが私なのか無一郎くんなのかっていう、そんな野暮な話は考えないでおこう。
適当にタクシーを捕まえて、教えてもらった住所まですぐに向かった。
けっこう大きなマンションに到着し、指定された部屋番号のインターホンを押した。
『霧雨か!ちょっと待ってろ』
すぐにオートロックの扉が開けられた。
そのままエレベーターであがり、部屋の前まで移動する。
なんのためらいもなくインターホンを押すと、宇髄先輩が明るい表情で出てきたが、すぐに短い悲鳴をあげた。
「え!?お前顔色悪すぎじゃね!?」
「………はい…実弥、引き取って、ソッコーで帰ります…」
ギリギリと必死で歯を食いしばる。
お腹が痛い。無理。
多分ねぇ、子宮が伸びてお腹が痛くなってるだけなんだよ。先生から話は聞いてるし、赤ちゃんが成長してるってことだから大丈夫。
でも、めっっちゃいてぇ。
「……いや具合悪いなら言えよ。」
「や、生きてるんで大丈夫です。」
「生きるか死ぬかの二択かよ……。」
宇髄先輩は深いため息をついた。とりあえず中に入れと言われたので、中に入った。
そうしてすすめられるがままリビングのソファーに腰掛けたところで気づいた。
「うわっ!!!」
気配が薄くて直前まで気づかなかった。しかし、部屋の中は死屍累々。
雑魚寝でゴロゴロと大の男たちが転がっていた。実弥に、伊黒くんに、煉獄くん、…冨岡くんも!!
「もう大変だったんだぜ…」
先輩が遠い目をしてことの顛末を教えてくれた。