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キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第58章 爆発する音


帰らないといけないという事実に無一郎くんは驚き、悲しそうだった。


「師範ともう一緒にいられないの?」

「まあ、そんな悲しそうな顔をしないで…」


うう、お腹がキリキリする。


「今生のお別れでもないし、もう君もお家に帰らないと。」

「師範といられるなら、どれだけ怒られても構いません。」

「ダメよ。あなたが怒られると私も悲しい。」


私はじっとその青い目を見つめた。


「君には、帰る場所があるでしょう。」

「………」


無一郎くんは心のどこかでは後ろめたく思っていたのか俯いた。


「でも…師範、また顔色が悪いです。このままじゃ同じことの繰り返しじゃないですか。」

「…大丈夫よ。」

「嘘、嘘ばっかり。」


私は首を横に振った。


「大丈夫。私を信じて。」

「…!」

「また、ダメになったら私と遊んでくれる?」


無一郎くんは仕方ない、というように頷いた。
言いたいことを堪えている様子が切なかった。


「……行こう。鉄珍様に挨拶をしないと。おはぎもおいで。」

『帰るのか。お前、青い面が治ってないぞ。』

「いいから、帰るの。先輩に言われちゃあね。」


私たちは荷物をまとめて、部屋から出た。玄関で鉄珍様に声をかけると、いつもの調子で返してくれた。


「まあ、また来るとええ。いつでも出迎えたる。ついでに老人話に付き合ってな。」

「…すみません、無料で泊めていただいて……。」

「ありがとうと言え。無理やりかりんとうを食わすぞ。」

「怖いです、鉄珍様…。」


……いらないって言ったこと根に持っているのだろうか。
それは大変申し訳ない。今度は断らないようにしよう…。


「数日間ありがとうございました。」

「それでええ。」


鉄珍様はひらひらと手を振った。


「アマモリに、たまには顔見せるよう言っといてくれな。どうせ来ないやろうけど。」

「…はい。」


確かに、言ったところで来ないだろうな。アマモリくんって仲が悪いとかそんなんじゃないんだけど、照れ臭くて会えないみたいなんだよね。

……踏ん切りさえつけば来るかな。また連絡しよう。
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