第8章 あの中に
大正コソコソ噂話
幼い頃、霧雨は家族に愛されていました。しかし、暴力を振るわれたり罵倒雑言を浴びせられる中でその記憶は薄れていきました。その結果、愛がわからない少女へ成長します。
周囲に促されるまま鬼殺隊へ入隊した時はどのように動いたらいいかわからず、命令に従うだけでした。
そんな霧雨をたくさんの人が心配していたようです。自分の意思で食事をしたり、訓練をしたり、眠ったりすることができるようになるまでかなり時間がかかりました。
最初は何も言わずにただぼんやりとしているだけでしたが会議でも発言をしたりするようになりました。発言内容は空気が読めていなかったりして散々でしたが、周りは喜んでいました。
無一郎と暮らし始めてから過去の自分と似た子供に愛情を持つようになります。
無自覚のうちに彼女の中に愛は存在し続けたのですが、死ぬ寸前まで霧雨がそれを自覚することはありませんでした。