第55章 いい子いい子
さて、ふざけている場合ではない。
このままズルズルと実弥に甘えているわにもいかないので、そろそろやることをやらないといけない。
散々考えるだけ考えた。いつもいつも無鉄砲に動くところもあるかと思いきや、私ってけっこう考え事もするんだよ。
……そうしていると、なんか…ええと、最終的には『一人で抱え込むな』とか、『何を考えてるのか教えてくれ』…等々、みんなに言われちゃうんだけど。
でも私だって一人で考えたいこともあるし、人に言いたくないこともある。
実弥はいざ相談すると『好きにしろ』って言うタイプだもんな…。多分、実弥は“言って欲しい”だけなのかもしれない。
私が相談しないのが嫌らしい。“言ってくれた”という事実のみが欲しいと言うのはよくわかった。
……けど、それは私が疲れるんだよね〜。言いたくないことを言って特に成果がないと言うのは…。
きっと私はその境目がよくわかっていないんだろうと思う。
どこまで話せばいいのか、よくわからない。言いたくないことを黙っていると実弥が嫌な思いをするだろうし、私は言いたくないことを言うことにストレスが……。
なんてことを考えていることが一番ス・ト・レ・ス!!!!!
「……」
「……」
「……」
「………………………………………さっきから何で俺をガン見してくるんだ?」
と、何も言えないままお昼ご飯に。私の目の前でパスタをもぐもぐ食べる彼をついじいっと見てしまっていて、そんなことを言われてしまった。
「………美味しい?」
「え、ああ、うん」
「…」
まあそれ、冷凍食品のヤツだから私が心を込めて電子レンジのボタンを押しただけなんですけど。
「………」
「………」
実弥が気まずそうにズルズルとパスタを食べている。
…私の考え事もあてにならないもんだな。