第55章 いい子いい子
「実弥!おはよう!」
「グエッ」
次の日、朝起きるや否や彼の部屋に突撃した。
悲鳴が聞こえた気がするけどきっと気のせいだよね!
しかし、急に飛びついたので私にもそこそこのダメージがあった。
「……硬い」
「あ?知るか。俺の筋肉は悪くねえよ。」
布団の上からでもバキバキの筋肉が感じられてムカついた。
「私だって腹筋…割れるものなら割りたいんだよ!!」
「割るんじゃねえよ!!萎えるだろ!!」
「ッ朝から何言ってるの!!!」
ギャアギャアやかましく騒ぐ私たちの元に、おはぎがトコトコとやってきて一度だけパシッと尻尾で床を叩いた。
まるでうるさい、と言われたようで、私たちはグッと押し黙った。
「お前、その顔だとまた寝てねえだろ。」
「でも見て、お肌もちもち。プルンプルン。」
実弥は私の頬をグニグニとつまんで、大きくため息をついた。
「ガッサガサ」
「えっ!!!」
「寝ないからだ。」
実弥はぐっと私の手を掴んだかと思えば、そのまま私を布団に引き摺り込んだ。
「ぎゃあ!!」
「ハイハイ、おやすみィ」
ぽんぽんと私の体に手を添えて、二度寝を決め込もうとする。
反抗しようと思ったけど、居心地が良く思えて私は大人しくその場でじっとしていた。
グウスカ眠る実弥に苦笑しつつ、私は数十分だけ眠ることができた。
「これでもちもちだな。」
起きたら実弥がそう言ってくれたので、ホッとした。