第54章 痣、燃ゆる
そんな風にふざけ合っていても、結局夜になってベッドに入るといろんなことを考えさせられる。
ぐっすり眠りたいのに、いろんなことが邪魔をする。
流石に…無一郎くんとお出かけは、ちょっとね。けどさ、あんなに私を慕ってくれているのにはっきり言うのは申し訳ないんだよね…。
あと…一つはっきりさせないといけないことがあるんだよね。
『無一郎はお前を女として見ているのは明らかだからこのままにしていてはまずかろう。』
これが一番よくわからない。
私を女として…ってことは、恋愛としてって意味?
あの子の『愛してる』、は私と同じで親愛からくるものだと思っていたんだけど……。
無一郎くんは私にとって…子供というか、弟というか、何者にも変えられない大切な存在だった。
だから『愛してる』と言える。
けれど……。
いや、11歳年下の子供にそんな言葉言うのってどうなんだろう。
あ、待って。
え?
あっ、待ってちょっと待って急になんか背中が痒い!!全身がむずむずしてきた!!!
アレェーーー???
私がやってたことってもう既に犯罪行為!?
いや、落ち着いて考えよう。私に置き換えてみよう………。
例えば、ほら、私が、中学2年生の時に、国語担当の若ハゲで有名な馬場先生とちょうど11歳差だった。
…いや、若ハゲは関係ないか。
ともかく、それくらい歳の離れた異性の人に『愛してる』…と言われたら……。
私だったらその日から寝れなくなるよ!!いや、今現在夜眠れなくなっちゃったけど!!!!!
そんなことを考えているうちに目が冴えてしまって、まだリビングで起きている実弥の元に向かった。
「さ…実弥くぅ〜ん」
「うおっ!なんだお前、起きてたのかよ。」
実弥が胸元をおさえて驚きのあまり目が点になっていた。
「あの…ええと」
「…眠れねェのか」
「あ、うん、そうなんだけども。」
「じゃあもう起きてろよ。」
テレビを見ていた彼はソファーのスペースをあけてくれたのでそこに座った。
「そんな薄着してるからだよ。ほら、これにくるまってろ。」
「い、いや、…それは多分いらない……。」
「いいから」
実弥は自分が使っていたブランケットを私の肩に羽織らせた。ふわふわした生地と、実弥の体温ですぐに体がぬくぬくと温まっていくのを感じた。