第54章 痣、燃ゆる
ちょっと散歩しただけのつもりがかなり疲れた。
無一郎くんはあの後もぐいぐい詰め寄ってきていて……。
『師範とお出かけしたいです。ねえいいでしょ?不死川さん。』
…あんなに積極的な子だっただろうか。懐いてくれるのは嬉しいんだけど……。
残念ながら私は25歳で、あの子は14歳。
「こんなおばさんがあんな小さい子と歩いてたら私が犯罪者になっちゃう!!」
「それは……否定できねェ。」
家に帰ってきてからも話題はあの子でもちきりだった。
「…まあ、懐いた奴にはとことん愛想がいいっていうのはなんとなく聞いたことあるけどよ。」
「へえそうなんだ。知らなかったや…。」
「時透はを見て育ったんだからお前の教育の賜物だろ。」
「いやだから関係ないって!!私はあんなに極端な態度取らないって!!え、嘘でしょそんなにあからさまな態度とってた!?」
「悲鳴嶼さん」
「まだ引きずってた!?!?!?」
実弥はギロリと睨んでくる。…いや、怖すぎ。
「……でもさあ」
私はスンッと真顔になる。
「実弥だって前世の奥さん大好きじゃん」
「………」
実弥はぐっと押し黙る。
「…好きじゃねえし……」
「……」
「ほ、本当に…」
私はじとーっと実弥を睨んだ。
が、すぐにニコッと笑った。
「まあ、もうどうでもいいんだけど。」
「………」
実弥はほっとしたように頬を緩めたのも束の間、実弥はため息をついた。
「やっぱ時透はお前に似てるよ」
「えっ!?」
そう言われてしまい、無一郎くんのことを思い出してみるもやはりわからない。……他の人からは私があんな感じに見えてるってことかな?