第54章 痣、燃ゆる
その後、二人で近所の公園までフラフラと散歩をした。
そうしているうちに気分もだいぶ良くなり、良い気分転換になった。それでも歩くとひどく疲れたので、公園のベンチで一休みすることになった。
今日は休みの日ということもありいろんな人が公園に訪れていた。
…そう。
いろんな人が。
「しっ師範!おはようございます!!」
………いや、なんでだよ。
ベンチに腰掛けていたところ、まさかの無一郎くんに声をかけられて思わず思考が止まってしまった。
「おはよう…ええと、偶然だね?」
「えへへ、ここら辺にはよく遊びに来るんですよ。師範に会えるなんて嬉しいです。思わず声かけちゃいました!」
ニコニコ笑う無一郎くんを実弥がじいっと見つめる。そこでようやく彼の存在に気づいた無一郎くんが急にスンッと冷たい真顔になった。
「あ、不死川さんこんにちは」
「…おう。……態度が雲泥の差だな。」
「不死川さんが師範をいじめていたの僕覚えてるので」
バチっと二人の間で火花が散るのを感じる。
「おい、お前の教育どうなってんだ…!!」
「え!?私!?いや今生はノータッチですけど!!」
「師範をいじめないでください」
無一郎くんがじとっと実弥を睨む…。おお、これもいじめになるの??
「君が何をどう覚えているかは知らないけど、私は何にも恨んでないからそんな怖い顔しないの。」
ひとまず、二人のバチバチ感が嫌だったのでフォローに回った。
「無一郎くんは私にすごく優しくできるんだから、みんなにも優しくしないとダメだよ。」
「はい…ごめんなさい、不死川さん」
突如としてシュン、となり実弥に謝った。
「…もういいから、気にすんな。」
「ねー師範、結婚式はいつなんですか?僕ずっと楽しみしてるのに。」
「やっぱこいつ態度変わりすぎだろ!!!」
「まあまあまあまあまあまあ」
この二人の間にいると大変だ。なぜこんなにいがみ合っているんだろうか。
「師範、僕また一緒にお出かけしたいです。」
「あはは……」
「おい、もう帰るぞ」
「……あは」
「あっ、師範。そこ段差ありますよ。僕が引っ張ってあげます。」
「…あぁ」
私は困り果てて大きなため息を吐き出した。
………どうしてこうも仲良くしてくれないんだろうか。