第53章 心通わせ
「あなたのことでもあるのよ、」
カナエにそう言われたが、私は何とも言えなかった。
本当に興味がないの、と伝えると彼女は困ったような悲しいようなそんな顔になった。
その日は皆そこで帰ったけれど、また次の日には別の来訪者が来た。
陽明くんと巌勝だった。
「わー、あれで生き残るとか本当に何なんですか?やっぱりまだ鬼なのぉ~?うわあぁ~。」
とかなんとか開口一番に言ったせいで巌勝に殴られていた。…擁護できない。
「ごめんね、俺本当はあなたが死ぬ未来見えてたの。けどね、さんなら大丈夫な気がしてね。…俺、あなたに賭けたんだよ。」
陽明くんは高校生らしく、良い笑顔を見せた。
「腕ちぎって瓦礫から出てくるとは思わなかったけど」
ちゃんと繋がってる左腕を見せて怒ると、陽明くんはまた笑った。
「まあ、いい方向に進んだみたいでよかったです。継子とも仲直りできたんでしょ?」
「……最近、無一郎はの話しかしないんだが。」
仲直り、と言っていいのだろうか。喧嘩…していたわけではないしな。
けど、すれ違ってズレていた何かはちゃんと元に戻ったと思う。
もう、あの目を見ても私は何も心苦しくはないから。
「そうそう。さん知らないでしょ。無一郎って巌勝さんの甥っ子なんだよ。」
陽明くんからとんでもないことを聞かされ、私は軽く悲鳴を上げた。
だから普通に話したりしてたのか、と言うと巌勝はため息をついた。……んん?じゃあ、縁壱さんは…。
「アレの話をしてくれるな。中学を卒業してからは私は家を出て、それ以来もう帰ってはいないからどこで何をしているのかなど知らん。」
「…ねえ〜、この人もこの人だよねえ。拗らせてるよねえ。無一郎に会ったのも数年ぶりだったらしいよ。部活で無一郎がめっちゃ驚いたって話聞かせてくれたんだから。」
「…なんでもしゃべるな、アイツ……」
巌勝は頭を抱えていた。……うん、まあ、仲が良いならそれでいいけれど…。
私は気持ちがわかるような気がしてその肩をぽんぽんと叩いた。