第52章 今も、昔も
時間がないのはわかっている。いつここも危険になるかわからない。
けれど、今だけは時間が止まったように思えた。
「僕はあなたとならたとえ地獄を歩いたっていいんです。」
一緒にいることはお互いを傷つけることだと学んだ。
実弥と私は、傷つけあって、傷つけあって、笑って、泣いて、怒って……。
「……」
ただただ、今の幸せを全力で感じている。
幸せとはなんだ。
幸せとは、どこにあるものだ。
『お前の幸せはどこにあったんだ?』
ああ、どこだろうね。どこにあったんだろうね。
「あなたが願った幸せは、もう僕の中にあります!だからあなたが幸せになってくれないと意味がない!!!」
無一郎くんはありったけの声で叫んだ。
「僕は、何年たっても、何度生き返っても、あなたを____」
愛してる
ピクリ、とその時瓦礫の下に埋まった左手の指先が動いた。
私の意識も再び覚醒する。
その時、私は気配を感じ取った。
「雷の呼吸」
刹那。
落雷が横切っていった。かと思えば、私の下半身を覆っていた瓦礫が吹き飛んだ。
無一郎くんが何事かと目を丸くする。
「ぎゃあああああああああーーーーーーー!!なんでこんなことになってんのおおおおおおおーーーーー!?!?!?!?!?」
思わずその悲鳴に耳を塞ぎたくなった。いや、防げないけど。
「いやあああ炭治郎!伊之助いやあああああああ!!!人が!美女があああああ!!!!!」
「善逸!落ち着くんだ!!」
「おい、お前大丈夫か!潰れてんのか!?」
「あなたたち、どうして…」
善逸くん、炭治郎くん、伊之助くん。私は思わぬ人物の登場に目を丸くした。
「オカマ野郎とヒョロヒョロ野郎に頼まれたんだ!!ムカつくけどな!!なんか…なんか、すごくて逆らえなかったんだ!!イライラする〜!!!!!」
「…オカマ?ヒョロヒョロ?」
「おい、無事か?」
私が首を傾げていると、なんと愈史郎さんまで姿を現した。