第7章 告げて
大正コソコソ噂話
ハカナは薬学に精通していました。彼の実家は薬屋で、父親の仕事を観察していたからです。薬のことを知るのが楽しかったようで、熱心に学んでいました。
薬には実際に上弦の壱の血を使いました。上弦の壱に襲われていたのはハカナが面倒を見ていて仲の良かった隊士です。殺されていなければ継子にする予定でした。それから彼は生涯、誰一人として隊士の面倒を見ることはありませんでした。
ハカナは無惨に遭遇したことがあります。すれ違っただけですが、その時に血を注入されて生死を彷徨いました。鬼を人間に戻す薬の開発をしていたので、それを飲むと鬼化が治りました。
しかしその薬は効き目が薄く、その時しか成功しなかったようです。ハカナがすんでのところで無惨の攻撃をかわしそうとして血の量が少なかったことも関係しています。
その時に無惨の記憶を夢に見て、この化け物には到底敵わないと思ったことが薬を開発したきっかけです。