第50章 鬼、鬼、鬼
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少し変な感覚に襲われて、私は目を覚ました。
『ここは?』
___返事はない。
ただの暗闇だった。
誰もいない。
私は走った。
『誰かいないの?』
誰もいなかった。
走って、走って、走っても誰にも会えなかった。
その時、大きな音がした。
ガラガラガラ、と音がして、その音が頭上から聞こえるとわかったが、足が動かなかった。
落ちてきたものが体に当たる。けれど夢の中だからか痛くはなかった。
『………』
けれどわかる。
体が落ちてきたものに押し潰された。
下半身の感覚が消え、右腕が潰れて動かなかった。
『……』
私は叫んだ。叫んだつもりだったが、何も声にならなかった。
痛い、嫌だと叫んだ。
けれど誰も助けてはくれない。
そう。
誰も助けてはくれない。
自分は自分が守らなければ。
強くならないと。
いいことなんて何一つなかったけど、私は。
何かが私の中で沸騰する。
動かない足と手を無理に動かす。
体が燃えているように熱かった。
『………』
動かない体を動かして、いつも無理をした。
一人だ。
ああ、暗闇で一人だ。
嫌だ。
嫌だ、こんな夢。
どうか、はやく醒めて_______