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キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第50章 鬼、鬼、鬼


もう冬だと言うのに、今日はたくさん動いたので汗をかいた。家に入るや否やすぐお風呂に入った。

風呂場の鏡にうつる私の体には痣があった。

霞の形をした痣が右足と左足にはっきりと浮かび上がっていた。


ただ霞が見えるだけだと陽明くんは言った。彼は何を私に伏せたのだろうか。


(痣に飲み込まれるか…)


私は鏡の自分に手を伸ばした。


(自分に飲み込まれるか)


鏡の向こうの私は随分とやつれていた。
そういえば、ここ最近眠れていない。

明日は病院だ。

…今日はゆっくり眠らなければ。









































お風呂から上げると実弥が帰ってきた。二人でおはぎを撫で回した後、一緒に晩ご飯を食べた。

実弥は学園でのことは聞いてこなかった。


「明日、病院行ってくる。」

「明日か…」

「うん。平日だから来れないでしょ。巌勝が送ってくれるっぽいからお言葉に甘えるね。」


送ってくれるなんて彼は一言も言っていないけれど…まあ、こう言わないと実弥は安心しないだろうし。


「…チッ。わかったよ。気をつけて行けよ。」

「うん。あと、童磨くんが明後日くらいに外に出てくるって。」

「ぶっ」


実弥は飲んでいたお茶が変なところで入ったらしく、ゲホゲホと咳き込んでいた。


「大丈夫?」

「お前さらっととんでもねェこと言ったなァ…?」

「そうだね。ここまで来ると、もう何にもできないよね。」


私は苦笑した。
脳裏に浮かぶのは…アリスちゃん。私が黙って出て行ったのに、連絡も何もなかった。

アリスちゃんは大丈夫だろうか。
あの子も、救われるといいのだが。


「陽明くんが本当に今のままでいいのかって言うんだけど、実弥はどう思う?」

「どうって…」

「私は…よくわからないや。今すごく落ち着いてるから、ヤバいともどうしようとも思わないの。」


そう。

まるで、死を覚悟した…黒死牟と戦ったあの夜のように。


「実は俺も落ち着いてるんだ。おかしいか。」

「ううん。」


実弥は怒りも笑いもしなかった。真剣なようだった。


「じゃ、このままでいっか。」

「そうだな。」


まるで他人事だった。

私たちはそれだけでこの話を終わらせた。




本当は、もっとたくさん話し合うべきだったのかもしれない。
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