第49章 ジハード
しばらくの沈黙ののち、宇髄先輩が口を開いた。
「霧雨。不死川はそれを知ってるのか?」
「このことを知っているのは私以外にあと二人。それ以外の人には言っていません。」
「…そうか。」
そこで久しぶりに見守っていただけの理事長が会話に参加した。
「うん。それで、は私たちに何かしてほしいことがあるんじゃないかな。」
私はその言葉に頷いた。
「私はただ童磨くんの行動を待ちます。…キメツ学園では、できるだけ裏から童磨くんの権力を削いでほしいんです。」
「わかった。例の宗教団体のことだね。」
「はい。」
「ではすぐに動こう。」
…ダメもとで頼んだのにできるだ。どうやるんだろう。…怖いから聞かないでおこう。
「そして、童磨くんの本当の狙いが何なのか私にはまだわかりません。ヒントが…この美術館にあるので、ここにある彼の絵から答えを探してください。」
私は彼と再会したあの美術館のパンフレットを差し出した。
「わかったよ。他にはあるかな。」
「これは一番後回しでも良いのですが、もし私に万が一のことがあったら…。」
一気に話して疲れたので一息ついた。
「キメツ学園は一切このことに関与しなかった、知らぬ存ぜぬで通してください。それで大丈夫ですから。」
「それは…今回の件の責任は全てが負うと?」
「はい。」
「うん。君がそう言うなら。」
私にもしものことがあったとして、その尻拭いは誰がするのだろうか。巻き込んでしまったからにはキメツ学園がするのだろう。それは申し訳ない。
これ以上みんなの仕事を増やしたくもないし、この結論が一番ベストだ。