第48章 霞の女
学園長…ではなく、理事長室へ通された。
はて?と首を傾げていると宇髄先輩が小馬鹿にしたように言ってきた。
「お前、自分が生徒だった時となにも変わってないとでも思っていたのか?」
「あ、いや、えへへ、そりゃ役職が変わったり?名前が変わったり?お部屋も変わったりしますよね〜…。」
適当に誤魔化したが、宇髄先輩は鼻で笑った。……あとで覚えてろよ。
と、ふざけ合っている場合でもないので宇髄先輩がノックをしてさっさと扉を開けた。
「失礼します、霧雨を連れて参りました」
さっきまでのあんたはどこに行ったんだと言わんばかりの豹変ぶりに思わず目が点になってしまった。
「ありがとう、天元」
が、穏やかな声に慌てて正気に戻る。
「お久しぶりです、が…理事長」
「うん、久しぶりだ。元気だったかい?」
「まあ、それなりに……」
…色々ありましたからね。
なんてことは言えるはずもなく、曖昧な返答を返した。
しかしその瞬間、宇髄先輩が思いっきり足を踏んできた。
「いたっ!!え、いたっ!?!?!?」
「地味な返事してんじゃねえよ。おら、ちゃんと答えろ!」
「い、痛いい!!げっ、元気です!!元気100%!!無病息災!!まじ卍!!!」
「最初っからそう言え!!!」
最終的にはあの馬鹿力で肘固めを決めてきたので喚き散らした。
「いっ痛いっす!!もう言ったしいいでしょ!?離してくださいよ!!」
「チッ、次なめた真似しやがったら派手に爆破するぞ。」
「……こんの産屋敷強火担同担拒否筋肉ダルマめ…」
痛む肘をぐるぐると回して回復をはかる。…まさか関節技を決められることになるとは思わなかった。
「天元。後輩の女の子に暴力はやめようね。」
「はっ。申し訳ございませんでした。」
「いや私に謝れ」
そう言ったが宇髄先輩はベッと舌を出すだけで謝罪はなかった。よし、本格的にあとで覚えてろ。