第48章 霞の女
大正コソコソ噂話
霧雨の薬はハカナが彼女専用に調合したものです。蝶屋敷とは別で、ハカナは個人的に薬で治療を行なっていました。
ハカナの薬は効き目がよく、鬼殺隊でも有名でした。
当時の蝶屋敷の主人はハカナの薬を治療に使いたいと、『共同で蝶屋敷の運営をしないか』と持ちかけましたが、ハカナはキッパリと断りました。
ハカナは本当に気の合う相手としか打ち解けることはなかったので、蝶屋敷の主人にどこか苦手意識を持っていたのでしょう。
それからは蝶屋敷には薬はやらないと断言していました。本当に薬を渡さなかったので、周囲はとても困ったそうです。ハカナの薬は手に入りにくくなりました。
霧雨と優鈴だけがハカナの屋敷には出入りができており、蝶屋敷は二人を通して薬を入手することとなりました。
二人もハカナがどうしてそこまで意地を張っているのか分からなかったのですが、尋ねてみると『だって俺は蝶屋敷で治療受けないもん』と太々しい答えが返ってきたそうです。
どうやら、『蝶屋敷の連中には微塵もお世話になっていないのにこちらから薬を提供する義理はありません』ということだったらしく、ハカナらしい理由に二人は爆笑して帰宅。
蝶屋敷の主人は頭を抱えて困り果てたそうです。