第46章 お薬どうぞ
そうなると私たちは早い。我々のフッ軽さを舐めるなよ!?
というわけで、お風呂に入ってぬくぬくした後はリビングのソファーで図太くゴロゴロ寝転がっております。
あーーーーーーーー。
我が家最高。おはぎもいるし!!!
ていうか実弥は本当にこれで納得しているのだろうか。…私の気にしすぎって言ってた。帰ってきてくれるだけでいいって。本当にいいのかなああ。
ゴロゴロとテレビを見ながら寝転んでいると、私の後にお風呂に入った実弥が髪の毛を湿らせたままリビングに入ってきた。
テレビを見つつ、横目で彼の様子を盗み見ると傷跡をかきむしっていたので顔をしかめた。
「かゆいの?」
「あー…最近特に」
実弥の体中にある傷はもう痛くもなんともないと言っていたが、たまにムズムズしてかゆくなるらしかった。
たまに皮膚科に行っていることも知っている。彼がかいているところを見ると真っ赤になっていたので、まずいのではないかと思った。
「お薬ぬったら?」
「…どこにやったか」
実弥は困ったように傷跡をかきむしっていた。
「いやいや、しっかりしてよ!引っ越したときにキッチンの戸棚に入れるって言ったわ!」
「…そうだったか」
あれ、私言い忘れたっけ。
二人揃っておぼろげな記憶に自信がなく、思うところを探し回った。
私は小さな脚立に乗ってキッチンの戸棚を確かめた。
私は大事な薬はここに入れておくようにしている。実弥の薬も確かここに突っ込んだ気が…。
「あった!」
予想通り薬はそこにあり、私は喜びのあまりそのまま自室にいる実弥を呼んだ。
「実弥ー、お薬あったよ!」
彼は私のところまで来てギョッとしていた。
「阿呆、落ちたらどうすんだよ。いますぐ降りろ。」
「え?落ちませんけど!?どれだけドジだと思ってるの!?!?!?」
不服ながらも脚立から降りた。その途中も実弥はハラハラしたのか万が一の時のために手を伸ばしていた。
「はい、これ。私の言ってた通りだったわ。」
「おう。」
……私、そんなに危なっかしく見えるのだろうか?