• テキストサイズ

キメツ学園ー輪廻編【鬼滅の刃】

第45章 傷が消えるまで生き抜いてー過去の記憶ー


安城殿の声は冷ややかに感じた。


「そうよ。」


私はその横顔を見上げた。
彼は私を見下ろした。


「だから、生きよう。ね?」


気の抜けたような笑顔で彼は言った。
場の緊張感が一気に消えていったような気がした。


「私はあなたに生きていて欲しいの。感情なんて私だって知らなかったしわからなかった。けど、今は幸せって思える。」

「……。」

「嫌なことばかりじゃないわ。素敵なことがこの世にはあるの。だから、鬼殺隊になってでも私は生きようって決意したの。」


安城殿は…。

いつもと違う笑顔を見せる安城殿は、とても綺麗だった。


「生きるとは、どう言ったものなのですか」

「さあ?」

「私は、消えてしまいたいのです」


安城殿は笑っていた。


「消えないわ」

「どうして」

「あなたは人間だもの」


そよそよと風が吹いた。
安城殿の綺麗な髪が風に舞った。


「あなたは、もう誰の命も消さない生き方をするんだもの」


安城殿の声は、芯があって。


「若い芽は、育み、慈しみ、育て、そして」


あるのかどうかもよくわからなかった、私の心の中に響いた。


「愛するものよ」


安城殿の瞳が私を見つめる。


「『アイスル』…?」

「ええ。」


風がやみ、安城殿の髪は揺れなくなった。


「あなたも誰かに愛をあげる人間になってね」











































この日のことは、とても印象に残っている。
けれど、時が経てばこの美しい時間のことも忘れてしまう。

私はまだこの時人間ではなかったのだ。



安城殿が買ってくれた羊羹の味も、この人の声も、顔も、夕日の色も、言葉も、薄れていく。


それでも感情だけは生きている。


教えてくれたことは、全て________
/ 1161ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp