第43章 傷が消えるまでずっとー過去の記憶ー
人間を殺した、隊士を殺した、有罪、殺人鬼、助けようとした人のことも傷つけた…
などと、二人は主張を続けた。
「炎柱様は、仲間を殺された瞬間を見ていらっしゃいません!」
「ですから、我々はこの子供を庇う必要はないと…」
「確かに私は見てはいないが、私の烏は見ていました。」
その二人に対して負けじと慎寿郎さんは反論した。
「私は自分の相棒を信じています。」
そのそばに黒い鳥が舞い降りてきた。
「…ふむ」
お館さまは考え込むように一度頷いた。
「困ったね。どちらを信じようか。」
…本当に迷っているのか、いないのかまではわからなかった。
「慎寿郎。その子を僕に預けてくれないかな。」
「!お館様…!」
「ひとまずその子の身なりを整えよう。服もないのだと可哀想だ。私も考えなければならない。みんなも一度冷静に考えてくれ。」
すぐに女の隠?と言う人たちがやってきた。慎寿郎さんは『くれぐれも乱暴に扱わないように』と一言添えた。
「ほら、行こう」
ぐいっと腕を引っ張られた瞬間、私はその腕を引っ掻こうとした。女の人の顔が引き攣るも、天晴と言う人がぐっと私の肩を抑え込んだ。軽く叩いただけのようだったが、私の体は重りでも乗せられたように動かなくなってしまった。
「大人しくして」
軽く私に囁いた。
「あんたのためよ、腕を折られたくないでしょ」
みしみしと音が立つほど腕を握られた。
私は足を振り上げてそのまま彼を蹴ろうとしたが、片手間に止められた。
「服着てないんだから暴れないでよ。乱暴なんてしないんだし、この女の人に大人しくついて行きなさいよ。」
そう言われ、私はピタリと動きを止めた。そして女の人を振り返り、その手に引かれてそのまま連れて行かれた。
そこで適当な服を着せてもらってまた元に戻った。