第42章 身を尽くし
気づけば周りには誰もいなかった。
美術館はいつにも増してしんとしていた。たくさんの気配が私の周りに感じ取れた。
「一つ聞かせてよ」
多分、童磨くんにもわかっていただろう。
「どうして俺が今日、ここに来ることがわかったの?」
「ああ、それはヒントをくれたからね。」
「ヒント?」
「…信じる仲間は見極めたほうがいいわ。」
童磨くんはつまらなさそうにため息をついた。
そこまで話したところで、私たちの周りを警察の人たちが取り囲んだ。
「……いつからわかってたの?」
「おかしいなと思ったのは童磨くんと再会してから。確信を持ったのは、つい最近かな。今日の朝には自白まがいのことをしてきたよ。」
「そっかあ…」
童磨くんは目を細めた。
「ま、捕まったっていつでも出てこれるし…次は本気で行くからね。」
にやあ、と童磨くんは笑う。
警察の人が童磨くんに手錠をかけ、さっさと連れて行った。私は警察の人を相手に色々な対応をし、解放されたのは夜だった。