第42章 身を尽くし

ここ数日、考え事ばかりをしていた。そばにいるアリスちゃんの気配も察知できないほどまで。


そして思った。


＿＿＿＿童磨くんの本当の目的は、私ではない









































「へえ」


童磨くんはパチンと扇を畳んだ。


「ふーーーーーーー、本当に君は俺の思い通りにならないね」

「………」

「美味しくなるまで、って待ったのが間違いだったかなあ。君が俺より強くなる前に手を出すべきだった。」


ピリピリと威嚇するように敵意が伝わってくる。しかし、そんなものでは怯まない。


「殺してみろよ」


私は自分より遥かに上背のある童磨くんを睨みつけた。


「御託はいいから殺してみろよ」


ズッと自分から殺気が滲み出ていくのがわかる。それは、無意識のもので私の意思ではなかった。


「………」


童磨くんが数歩下がった。
怯えている、わけでもないのだろう。

本能として私から遠かったのだ。


「……君に何を言われようと、絶対俺は俺の目的を果たす」

「無理だ。お前は何もできない。」


キッパリと答えた。


「私がいる」


童磨くんはさらに私から距離を置いた。


「……これくらいじゃ、君は折れないか」

「……」

「俺がどれだけ仲間を殺しても折れなかったもんねぇ」


彼はまたにこやかに笑い出した。


「まあ、いいや。今日は一緒に絵が見られて楽しかった。また会おうよ。」

「いやいや、馬鹿じゃないの？」

「んー？」

「逃がすわけないじゃん」


今度は私がニヤア、と笑った。


「は」


童磨くんが固まった。


「私のストーカーしてたくせに何も知らないの？申し訳ないけどね、私ってそこまで馬鹿じゃないわ。」

「…おいおい」

「どれだけ時間をかけて童磨くんのことばかり考えていたと思ってるの？」


全て。

全て、見通していた。