第5章 好いて好かれて
優鈴は大きく息を吐いた。
「いざ話そうと思ったら言葉が出てこなかったって言いたいんでしょ。」
二人は図星をつかれたらしい。
「で、事前に言うとは嫌がるから逃げたんだ。とんだサプライズだね。」
もはやトドメとも言える言葉に二人はまた黙り込んだ。
「………あの…優鈴、そこらへんに…」
「バカ、何でお前怒んないんだよ。」
「へ」
「ムカつくだろ。赤の他人の僕でもくそムカつくけど。」
優鈴は腕組みをしてじとっと二人を睨み付けた。
「自己満足じゃんこんなの。のことは完全無視してさ。自分たちの都合押し付けて、最低じゃん。」
「ええっと…?」
「ほら、コイツ全然わかってない。ダメだよこんなんじゃ。本当にダメだよ。」
優鈴は二人に対して真剣に怒っていた。
「何の話をしたいのか。どうしたいのか。二人では完結してんのかもだけど、に伝わってないとダメだろ。」
私は黙って聞いていた。
「僕は…がどれだけ悲鳴嶼くんのこと好きだったか、実弥くんを好きかわかる。」
え。
「優鈴…。」
「何。」
「何で私と……。その、前世のこと知って…。」
優鈴はあぁ、と声を出した。
「バレバレだったし。」
「え」
「気づいた人は気づいたんじゃない。宇髄とかも知ってるって言ってなかったかなあ…。」
「え」
嘘。
「言ってやろうか。僕も宇髄もハカナくんも胡蝶さんも何ならお館様も知ってたし。気づいてなかったのはそいつと冨岡だよ脳みそ筋肉ダルマども。」
えええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!
「あっ。あんなに隠してたのに…っ。」
「俺と…冨岡だけ…。」
「悲鳴嶼くんはバレてる自覚あったでしょ?」
「…まあ。」
「ええっ!!オシエテクダサイヨ!!!」
「…何度か遠回しに注意したことはあるが、聞く耳を持たなかっただろう。」
うっそまじでか。気づかなかったけどそんなもん。
じゃ、じゃあ。
私とあとの二人だけが…知らなかったの…!?