第41章 可哀想な人
一人寂しく待っていると二人は数十分で帰ってきた。
ていうかあれだけ犬猿の仲みたいな雰囲気出しといてショッピングって、だいぶ仲良くなったな…感動しちゃった…
「私がせっかく車出してやったのにちんたら買い物しやがって!」
「可及的速やかに済ませたけど文句あんのかァ…!?」
仲良く…
…なってない、か
「ワックス一つにどんだけ時間かけてんだよ!シャンプーまで選びやがって!おら選別に体洗う用の石鹸くれてやるよ!!」
「うるせェ!俺の自由だろうが!!オラよ、車の礼の甘味だ!!」
あ、しっかり仲良しだったわ。
「おかえり二人とも〜。」
「「ただいま!!」」
…面白いし、しばらくは二人のことを見守ろう。
「じゃあ、私は家に帰るから。店開ける前に不死川はさっさと帰りなさいよ。」
「…ああ。」
「ああじゃねえよ言葉で話せや」
そう詰め寄られた実弥は、思いっきり顔をしかめた。
「…ありがとうございます」
「はいはい。」
アリスちゃんはひらひらと手を振ってさっさと出て行った。
「ああ、面白かった」
「……苦手だァ」
なんとも言えない感情が伝わってくる。…実弥に怯えずに対等に話せる人っていないもんね。
最初は顔の傷を見て怪訝そうな顔をする人がいるのに、アリスちゃんはそんな様子も見せなかった。
……本当に、いい友達を持ったわ。
「荷物、上まで運んでおいで。私はお店の片付けやるから。」
「…俺も手伝う。」
「いや、これ私の仕事でもあるから手伝ってもらうと色々困るよ。行っておいで?」
実弥が荷物を運ぶ間にお店のシャッターを閉めたりゴミ出しを済ませた。のそのそと上に行くと、実弥が部屋の前で立ち往生をしていた。
…初めてくる部屋だからそうなるか。
入っていいよ、と言おうとしたが…。
「…待って私片付けしてない!ぎゃああちょっとストップ!!」
「そんなことだろうと思ったから止まってたんだよ。」
「さすが実弥!5分待ってて!」
私は部屋に入って扉を閉めた。やばいやばい他人を泊めることとか考えてなかった。ひとまず換気しなきゃ!!
窓を開けようとしたがその時、床に敷いていたものにツルッと足を取られてそのままバランスを崩した。
「う、うわああっ!」
そのままずっこけるかと思いきや……