第41章 可哀想な人
上まで持って行こうとすると、一触即発だった二人がギョッとして私を振り返った。
「「私/俺が持つッ!!!!!」」
二人はまた火花を散らした。
「おいテメエさっさと帰れよ二人の時間は親切丁寧にくれてやったろ?」
「延長だゴラァ」
「よほど蹴られたいらしいな」
アリスちゃんが立てた親指を下げたところで、面倒だと思って階段のそばで座り込んだ。
「俺が!」
「私が!」
「「やるんだから引っ込んでろ!!!」」
いやいっそのこと二人とも引っ込んでくれ。
「はあああ。疲れたわ。そんなに言うならもう泊まって行けばぁ?」
「は?」
「悔しいけど、ちゃんがあんたに会ってから顔色いいのよね、クソムカつくけど!」
………???
ちょっと話がおかしな方向に。
「いや、泊まるって言っても明日は仕事が…。」
「数時間で向こうまで戻れるっしょ。今日はさっさと寝て明日はやく起きれば?」
「………」
二人がこれ見よがしに私に視線を投げる。
……もしかして私待ち??
「…実弥がいいならいいけど……」
もうこうとしか言いようがなかった。
「………じゃあ、泊まっていいスか」
「英断よ不死川!着替え買いに行きましょ!!」
「え、男の着替えを一緒に?」
「早く来いよ殴るぞ!!」
アリスちゃんの男らしさに実弥は振り回され、さっさと店から出て行った。私は大根三本を抱え込んだまま途方に暮れた。
「……私も連れてってーーー…」
そう言う頃には閑古鳥が泣いていた。